昨年8月に、フォルクスワーゲンは、「ゴルフGTI TCRコンセプト」を発表した。そのパワーは、290ps/370Nm。最高速度は、264㎞/hに達するスーパーホットハッチだ。
世界中のゴルフGTIファンの羨望の眼差しの先に輝く、「ゴルフGTI TCRコンセプト」が、たった4ヶ月という短い期間で、欧州限定で市販されることが明らかとなった。
この秋、8代目へと進化するゴルフ。永遠のベンチマークたるゴルフのホットバージョン、新型GTIの超進化へ向けた伏線なのか。期待は膨らむ。
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▶ニュルFF最速を目指せる動力性能
「ゴルフ GTI TCR」のエンジンは、2017年に限定発売された「GTIパフォーマンス(245ps/370Nm)」をさらにパワーアップさせ、290ps/370Nmを発揮する。
トランスミッションは、電光石火のシフトチェンジでお馴染みの7速DSGが組み合わされ、前輪のみを駆動する。およそ300psの強力なパワーを受け止める前輪は、XDS(VW版リミテッド スリップ ディファレンシャル)によって、トルクステアはどこへやら、見事な高速コーナリングを可能にする。
0-100㎞/h加速は、5.6秒。現行のGTI(6.4秒)からすると、およそ1秒近く速い。「GTIパフォーマンス」の6.2秒と比べても、その速さは歴然だ。ちなみに、FFホットハッチのライバルであるシビックタイプR(320ps/400Nm)と、メガーヌR.S.トロフィー(300ps/420Nm)よりも、0.1秒速い。
「ゴルフ GTI TCR」は、パワーではライバルにやや劣るものの、肝心の速さはNo.1だ。
最高速度は、リミッター作動で250㎞/h。しかし、オプションという名の裏技で、リミッターを解除すると、260㎞/hへと達する。
TCRインターナショナルシリーズで、2度の総合優勝を果たした「ゴルフ GTI TCR」。過酷なレース環境で磨かれた技術が、惜しげもなく投入されたマシンだけに、パワーと速さは共に申し分ない。
ニュルでのFF最速タイム更新への期待は、否応無しに膨らむ。猛烈なスピードでコーナーに突っ込み、キッキッキーと危うき音を立てながらコーナーを何とか攻略し、最後の直線では、FFホットハッチNo.1の加速でチェッカーフラッグを受ける。そんな日を、早く見たいものだ。
8代目ゴルフからは、48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載される。新型GTIも、このマイルドハイブリッドによって、パワーアップを図ることは間違いない。ならば、今回発表された「ゴルフ GTI TCR」は、モーターによるパワーアシストを受けない純粋な内燃機関として、最後のハードコアなGTIとなる。
▶数々の専用装備
「ゴルフ GTI TCR」には、専用装備が盛り沢山だ。専用のエアロパーツは、フロントスプリッター、ルーフスポイラー、リアディフューザー、サイドシル。足元は、専用デザインの18インチホイールを履く。オプションの19インチホイールには、セミスリックタイヤが組み合わされる本格仕様だ。
ドレスアップのオプションは、カーボン製ミラーキャップ、ブラックルーフ、リアフェンダー近くのハニカムグリルデザインのステッカーがある。
コックピットでまず目に留まるのは、真紅のセンターストライプが施されたステアリングだろう。ステアリングを眺めているだけでも、サーキットの興奮や観客の歓声が聞こえてくる。専用デザインのマイクロファイバー製スポーツシートも、特別なGTIならではだ。デジタルコックピットはもちろん、標準装備。LEDヘッドライトも、同じく標準装備だ。
▶今後の展開
「ゴルフ GTI TCR」は、およそ490万円からとなる。魅力的なオプションをポンポンっと上乗せすれば、あっという間に500万円超。とはいえ、「ゴルフ GTI TCR」は、モーターを備えない純粋な内燃機関最後のハイスペックGTIだけに、その価値はプライスレスだろう。
冒頭でもお伝えした通り、この幻のGTIは欧州のみでの販売となる。非常に残念だが、手に入れる希望が完全に閉ざされたわけではない。並行輸入で、英国仕様を手に入れれば、日本でも快適に愉しめる。Let’s try!!
Photo source:Volkswagen
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