人馬一体を極めたミッドシップ、新型718「T」

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ポルシェは、718ケイマンとボクスターのベースモデルと、「S」モデルの中間に位置する「718 T」を発表した。

 

車名の最後にある「T」は、「Touring:ツーリング」の略であり、ベースモデルよりも、一途なまでに純粋に718のドライビングを堪能できるクルマに仕上げているそうだ。

 

ポルシェの歴史を遡ること50年、初代「T」のバッジをつけたのは、1968年の「911 T」。それから半世紀を経た今年、「911 カレラ T」が復活した。

 

そして、ドライビングの愉しさにおいては、911に勝るとも劣らない718に、いよいよ「T」が投入されることになった。

 

一見、微妙なポジショニングの「718 T」。一体、どのようなクルマなのだろうか。

 

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▶動力性能はベースモデルと同じ

新型718 T ケイマンとボクスターのエンジンは、共にベースモデルと同じ、2.0ℓ4気筒ターボだ。パワーも同じで、300ps@6,500rpm / 380Nm@2,150rpmを発揮し、7,500rpmまで気持ちよく回る。トランスミッションは、専用の短いシフトノブが特徴的な6速MTか7速PDKが組み合わされ、後輪を駆動する。

 

パフォーマンスは、これまた同じで、0-100㎞/h加速が4.7秒(MTは5.1秒)で、最高速度は275㎞/hとなる。スペックを見る限り、「T」を敢えて選ぶ理由はどこにあるのかと、頭の中で???がこだまする…

 

▶足回りはGTS

新型718 T は、平たく言えば、ベースモデルのエンジンにGTSの足回りを持つクルマだ。日本でその実力を存分に愉しむのなら、エンジンはベースモデルで十分。ミッドシップとしての真骨頂である人馬一体を堪能するには、むしろ足回りの方が重要。さすがは、ポルシェ、よく心得ている。

 

新型718 Tの足回りは、GTSに装着されるポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメント(PASM:可変ダンパー)、ポルシェ・トルク・ベクタリング(PTV:ポルシェ版LSD)を備える。車高は、GTSの10㎜を凌ぐ20mmのローダウンがなされており、スポーツクロノパッケージまで備えている。そして、足元には、ハイグロスグレイの20インチのホイールが、アスリートのようなしなやかな足さばきを連想させる。

 

しかも、ポルシェ・アクティブ・ドライブトレイン・マウント(PADM)により、コックピットの背後わずか30㎝後方に鎮座するエンジンとギアボックスの振動が最小限に抑えられ、レスポンスは一段と鋭くなるばかりか、ハンドリングの切れ味も増す。まさに、人馬一体の極み。背後から躍動感溢れるパワーを感じ、意のままにクルマを操れる仕立てなのだ。

 

足回りのスペックは、ベースモデルはおろか、Sモデルにも完勝だ。この足を持ってすれば、日本の細いワインディングロードも、なんのその。スキーで初めてターンができた時のように、キュッキュッとコーナーワークを愉しめるだろう。

 

▶「T」ならではのコックピット

新型718 Tのコックピットは、純粋にドライビングを堪能してもらうための工夫がなされている。ドアハンドルは真っ赤な布製となり、パワーシートは2ウェイの調整のみ。さらにハードコアがお望みのオーナーには、無料で、センターコンソールのPCMが搭載されているタッチスクリーンを取り外してくれる。取り外した後は、蓋のないグローブボックスとなるのだが、見た目を考えると、あまりお勧めではない。

 

このように、一見軽量化がなされているように思いきや、WLTP対応の微粒子フィルターの装着により、車重に変化は無いようだ。

 

▶今後の展開

欧州では、すでに受注を開始しており、「新型718 ケイマン T」がおよそ808万円からで、「新型718 ボクスター T」はおよそ834万円からとなる。当然ベースモデルよりは高いが、Sモデルよりも安くて、GTSの足回りが備わっているのだから、お得であることは間違いない。日本導入が、待ち遠しい。

 

さあ、残すは、新型718 ケイマンGT4のみ。果たして、6気筒エンジン搭載なるか…

 

 

Photo source:PORSCHE

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