遡ること6月29日、日産とイタルデザインは、初のコラボレーションとなるGT-R50を発表した。GT-R50は、日産GT-Rの50周年とイタルデザインの創立50周年を記念したワンオフマシンである。マシンの開発と組み立てはイタルデザインが手がけ、デザインは日産のロンドンとサンディエゴのデザインセンターで練り上げられた。
イタルデザインは、フォルクスワーゲン傘下のイタリアを代表するクルマのデザイン会社であるが、今回のコラボレーションでは、日産がデザインし、イタルデザインがマシンの開発と組み立てをしたとあって、「本来、逆なのでは?」と思ってしまう面白いコラボレーション企画でもある。
ベース車両は2017年型のGT-R NISMOとなるが、デザインの力とは恐ろしいもので、GT-Rが美しいヨーロピアンな雰囲気のスーパーカーへと変貌を遂げている。もっとも、中身はNissan GT3の技術がふんだんに注ぎ込まれた、正真正銘のレースカーだ。
そして7月9日、日産は、十分な数の要望があれば、GT-R50を50台の限定生産で販売すると発表。
日本が誇るスーパーカーGT-R50は、7月12日にイギリスのウェスト・サセックス州で開催された世界的なモータースポーツイベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で公式にお披露目された。
それからおよそ5か月、当初の価格よりも90,000ユーロ高い990,000ユーロ(およそ1億2,743万円)のプライスタグで発売された。正式に受注を開始したようだが、なんと言っても全世界限定50台である。すでに、完売していてもおかしくない。
SPONSORED
SPONSORED
▶GT-R50はイタリアで製作される
全世界限定50台のGT-R50は、日本にある通常のGT-Rの生産ラインではなく、イタルデザインが本拠地を構えるトリノで製作される。日本から、GT-R50のベースとなるGT-R NISMOをトリノに運び、そこで熟練のマエストロたちによって命が吹き込まれるのだ。
イタルデザインが誇る40年戦士の熟練工達は、ハンマーを振り下ろし、手作業でポディパネルを成型。GT-R50のために自作した専用の道具を用いて、ベース車両より54mm絞り込んだ見事な流線形を造り上げた。
あまたのオリジナルパーツを装着したGT-R50は、内外装ともに、オーナーの好みのカラーコンビネーションが施され、一台一台特別な要望に基づき、手作業で組み立てられる。
世界でたった一台だけの「唯我独尊なGT-R50」は、最速で今年中にオーナーの元へと旅立つ。
関連記事:イタルデザイン、GT-R50の製作風景を公開
▶レースカーのパフォーマンス
GT-R50は、GT-R NISMOをベースとして、GT3がレースで培ったノウハウをフィードバックすることで、見た目も中身も正真正銘の特別にパワフルで速いGT-Rである。
GT-R50のエンジンは、3.8ℓV6ツインターボ。専用のチューニングが施され結果、パワーは、720ps/780Nmを発揮する。ベース車両のGT-R NISMOが600ps/652Nmであることを考えると、もはや別の車だ。
レースカーのスペックを備えるエンジンは、GT3のレースで培った技術を惜しみなく投入しており、レース仕様のターボチャージャーとインタークーラー、強靭なパワーに耐えうるクランクシャフト、ピストン、ベアリング、コネクティングロッドで構成される。
もちろん、吸排気系システムもハイパフォーマンスを最大化すべく改良されている。そして、怒涛のパワーを余すことなく路面に伝えるため、専用のチューニングは6速DCT、ディファレンシャル、ドライブシャフトにまで及ぶ。
一方の足回りは、GT-R50のために最適化されたビルシュタイン製ダンパー、フロントが6ピストン、リアが4ピストンのブレンボ製ブレーキを備える。21インチの専用ホイールはミシュラン パイロット スーパースポーツを履く。サーキットでも破綻を許さない、揺るぎないグリップ力によって、ドライバーの思い通りのハンドリングを提供する。
公道とサーキットでどのような顔を併せ持つクルマになるのか、今から期待で胸が高鳴る。
日本製のスーパーカー、GTR-50。日本の公道を疾走する姿を、早く見たい。
Photo source:ITALDESIGN
SPONSORED
SPONSORED