前衛的ピックアップトラック、タロック・コンセプト

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フォルクスワーゲンは、次世代ピックアップトラック「タロック・コンセプト」を、現在開催中のサンパウロ・インターナショナル・モーターショーで発表した。

 

「タロック・コンセプト」は、全長5mのボディに、およそ1.9mの荷台を確保し、最大積載量およそ1,000kgを誇る、本格的なピックアップトラックだ。しかしながら、フォルクスワーゲンのピックアップトラックは、日本未導入。残念、無念、意気消沈…

 

ワーゲン製のピックアップトラックは、ワーゲンの商用車部門に属するモデルであるため、仕事でピックアップトラックを使うことの多い、南北アメリカが主要マーケットとなる。

 

そして、近年、経済成長著しいブラジルが、目下の最重要マーケットだ。ボルソナロ新大統領の経済政策では、政府による経済への介入を弱める。これによって、ワーゲンを含めた世界企業は、今まで以上に積極的にブラジルに投資し、たっぷりと果実を享受するだろう。ブラジルは、その経済ポテンシャルや計り知れない、伸びしろたっぷりの国だから。

 

そんな伸びしろたっぷりの国のためだろうか、ワーゲンは、「タロック・コンセプト」の発表と同時に、同車のブラジルでの早々の発売を宣言。市販モデルは、煌びやかなフロントエンド以外は、ほぼコンセプトモデル通りだという。ワーゲンの「売るぞ!」という意気込みが、ひしひしと伝わってくる。

 

それでは早速、「タロック・コンセプト」をのぞいて見るとしよう。

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▶前衛的なエクステリア

「タロック・コンセプト」は、武骨なアメリカのピックアップトラックと違い、洒落っ気のあるスタイリッシュな外観だ。フロントエンドは、近未来的な装いのLEDライトで飾られている。そして、ヘビーデューティーな肉体労働を意識させない「パノラミックサンルーフ」を備える。マッチョなアメリカにはない、優雅なバカンスを思わせるヨーロピアンな発想。極めつけは、スポーティな乗用車を思わせるテールライト。欧州車の最近流行りのデザインで、リアエンドの端から端まで一直線に細いテールライトが伸びる。

 

機能性と頑強さを前面にアピールする、アメリカ製のピックアップトラック。機能「美」を、大人しめに主張する、洗練のワーゲン製ピックアップトラック。さあ、どちらが、情熱的なサンバのリズムを刻むブラジル人のハートを、射止めるだろうか。

 

▶見た目以上にタフで使える実用性

「タロック・コンセプト」の大きなセールスポイントは、およそ1,9mにも及ぶ荷台。荷台とキャビンの仕切りであるリアパネルを倒し、さらに、後席を倒すことで生まれる広大なスペース。正確には、1,861mm。大柄な男性でも、普通に寝転がれる広さだけに、「ベッド(荷台)」と言われるのだろうか?

 

リアパネルを倒して、荷台スペースをより広くするというと、シボレー・アバランチを思い出す。アバランチは、全長およそ6m、全幅2m超の典型的なアメリカンピックアップトラック。目の前にすると、思わず「デカっ!」と口にしてしまう立派な体躯の持ち主だ。

 

閑話休題。荷台は、リアパネルを倒さなくても、1,206mmを確保する。最大積載量は、およそ1,000kg。荷台スペース、積載量ともに、仕事のクルマとしては、タフで使える実用性を備えている。仕事以外でも、これだけ荷台が広ければ、サーフィンをする人なんかには、もってこいのクルマであろう。

 

仕事でも、趣味でも使えるクルマ。さすがは、ワーゲン。抜け目がない。

 

▶商用車のパワートレイン

「タロック・コンセプト」の市販モデルは、2.0ℓ4気筒ターボディーゼル(TDI)を搭載する。最高出力は、150psを発揮。トランスミッションは、6速DSGが組み合わされ、4MOTIONで四輪全てを駆動する。あくまで商用車であるため、必要以上のパワー、細かなエンジンラインアップは展開されない。

 

もっとも、コンセプトモデルでは、1.4ℓ4気筒ターボ(TSI)が搭載され、同じく150psを発揮する。このモデルの特徴は、燃料として、ピュア・エタノール(E100)と、エタノール混合ガソリンのいずれにも対応する点である。いずれも、ガソリンよりも二酸化炭素の排出量を抑えられる環境対策燃料として、その実現が期待される。

 

▶今後の展開

詳細なスペック、発売時期や発売価格などは明らかにされていない。ただし、この「タロック・コンセプト」は、アメリカで発売されないことは決定済み。ピックアップトラック大国のアメリカでは、もっと大きくてパワフルなモデルが好まれるからだ。

 

ちなみに、ワーゲンは、「アトラスTANOAK」というコンセプトモデルを、今年3月のNYモーターショーで発表している。このモデルは、ワーゲンの北米市場向けSUV「アトラス」をベースにしたピックアップトラック。エンジンは、アトラス用の3.6ℓV6(FSI)を搭載。パワーは、280ps/350Nmを発揮する。トランスミッションは、8速ATが組み合わされ、4MOTIONで四輪全てを駆動する。

 

「タロック・コンセプト」よりも、やはりパワフルだ。

 

▶ピックアップトラックに垣間見るアメリカ流の男らしさ

全てのアメリカ人男性という訳ではないが、男を磨くアメリカ人男性は、仕事帰りに、デカいピックアップトラックでジムに乗り付け、ガッツリとトレーニングする。鉄の鎧と、筋肉の鎧の両方を纏うことで、男らしさを周囲にアピールするのだ。これは、以前、仕事でシリコンバレーに滞在していた時、実際に目にした光景だ。シリコンバレーは、グーグルやアップルの本社があるなど、どちらかと言うと、体よりは頭を使う人の多い地域なはずなのだが…

 

私は、現代版カウボーイ達をほぼ毎日目撃した。あのシリコンバレーで。

 

雄叫びを上げながら、とんでもない重量のバーベルを挙げ、床へ放り投げる。日本なら、ジムのスタッフに厳重に注意される行為。しかし、ここはアメリカ。ジムも、馬鹿みたいに広い。みんな、思い思いに、自分のトレーニングに集中。スタッフやトレーナーも、至って大らかだ。シャウトして、バーベルを床に投げつけようが、まったくお構いなし。逆に、重いバーベルが挙がったことを、一緒に喜ぶ。この底抜けにポジティブで、ハッピーな考え方は、我々日本人は学ぶべきかもしれない。

 

「屈強であることこそ、男の証」という価値観は、スーパーヒーロー大国アメリカでは、まだまだ健全だ。USA!

 

Photo source:Volkswagen

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