「ミッションE クロスツーリスモ」生産決定

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ポルシェは、2019年発売予定の同社初の4シーターEV「タイカン」のクロスオーバーモデル、「ミッションE クロスツーリスモ」の生産を決定した。

 

2022年に向けたEV推進計画に、およそ7,800億円以上を投資するポルシェ。これにより2025年以降、全モデルの半分以上を電動化する構えだ。電動化したポルシェでも、利益率15%を堅持し、攻めの経営戦略を推し進める。

 

一方、ドーバー海峡の先にあるイギリスでは、マクラーレンが同様のEV推進計画を進めている。こちらは、ポルシェよりもさらに大掛かりだ。2025年に向けた、攻めの電動化ビジネスプラン「トラック25」。このプランは、およそ2兆円近い資金を投じ、これから上市する18の新型モデルないし派生モデルを、全てハイブリッド化する。その記念すべき第一弾が、今週の金曜日(10月26日)に発表される「スピードテイル」だ。「スピードテイル」は、マクラーレンP1の後継車で、ハイブリッドパワートレインで1000ps超を発揮するハイパーカーだ。

 

関連記事:マクラーレンP1の後継車、「スピードテイル」

 

エンジン音をもぎ取られた、フルEVのタイカン、「ミッションE クロスツーリスモ」。果たして、内燃機関の官能的な刺激と、サイボーグのような電動モーターを兼ね備えたハイブリッドスーパーカーに打ち勝つことができるだろうか。

 

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▶タイカンと同じスペック

ミッションE クロスツーリスモは、タイカンと同じ動力システムを採用する。2基の駆動モーターをそれぞれ前後のアクスルに配置し、800Vのリチウムイオンバッテリーを車体中央部の床下に搭載する。

 

そして、2基の*PSMモーターの出力は、およそ600ps(440kW)以上を発揮し、0-100㎞/h加速は3.5秒以下、0-200㎞/h加速は12秒以下で駆け抜けることができるようだ。

 

一方、EVの最大の課題である航続距離は、1回の充電で500㎞以上走行可能ということだ。しかし、9月から導入された厳しい「WLTPサイクル」ではなく、以前の緩い「NEDCサイクル」を基準にしている。航続距離については、上市までに、モーターやバッテリーに改善を施すか、数値そのものを下方修正してくると思われる。

 

800Vの高電圧リチウムイオンバッテリーは、空の状態からわずか15分で80%(400㎞)の充電が完了するという。しかも、たった4分の充電で、100㎞(NEDCサイクル)航続可能というのだから、驚きである。

 

航続距離の問題がクリアできれば、日本に導入された暁には、東京-京都間は、安心してドライブできそうだ。大阪までは、ちょっと難しいか。

 

*PSM:永久磁石シンクロナスモーター

 

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▶EVの普及には、充電インフラ整備が不可欠

EVの最大の課題は、内燃機関のようなガソリンスタンドたる充電ステーションが、十分に無いこと。この課題が解決されない限り、消費者は安心してEVを乗るどころか、購入する気にもならないだろう。

 

この点、ポルシェは、家庭用のAC充電器「ポルシェ・モバイル・チャージャー・コネクト」を開発。22kWの充電器で、就寝中にタイカンがフル充電される。そして、BMW、ダイムラー、フォード、フォルクスワーゲングループが設立した最大350kWのEV用急速充電ネットワークの合弁会社「IONITY(イオニティ)」は、2020年までに、ヨーロッパ全土に400ヶ所のEV急速充電ステーションを整備する。何とか、タイカンの発売に間に合うと良いが。

 

さらに、タイカンの発売に合わせて、世界主要20のマーケットのホテルなどに、合計2,000以上のAC充電器を設置する。EV先進国のアメリカでは、ポルシェの親会社であるVWグループが、「エレクトリファイ アメリカ」と協力して、2019年から、最大350kWのEV急速充電ステーションをハイウェイのサービスエリア300ヶ所に整備する。

 

今は、内燃機関から電動化への過渡期である。そして、EVにとっては、黎明期。したがって、EVを普及するには、内燃機関に取って代われるインフラ整備が不可欠。クルマの開発だけでは不十分なところに、EVのもう一つの難しさがある。

 

▶環境に配慮するEV工場

EVは、環境に配慮した移動手段。したがって、その製造過程でも、環境に配慮することが要求されている。この点、ポルシェのEV生産工場は、カーボンニュートラル。将来的には、環境に全く影響を与えない、工場を目指すようだ。

 

この最新鋭の環境に配慮したEV工場では、内燃機関の熟練工と新たに雇用された工員が、電動化やデジタル技術について、多くの研修を受ける。ポルシェは、新旧織り交ぜた多様な人財で、EVビッグバンに備え、EVスポーツカーのリーディングカンパニーを目指す。

 

Photo source:PORSCHE

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