アウディ初の市販EV「e-tron」誕生(前編)

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アウディは、同社初の市販EVとなるミッドサイズSUV「e-tron」を発表した。5m近い大柄なe-tronは、Q5とQ7の間を埋めるモデルとなり、ライバルはジャガーIペース、テスラ モデルXとなる。

 

来年発売予定の「e-tronファーストエディション」は、999台の限定モデルであり、予約受付の準備は急ピッチで進んでいるようだ。

 

アウディは、e-tronを皮切りに、2025年までに20車種の電動化モデルを市場に投入する予定だ。この20車種のうち、12車種がフルEVの「e」モデルとなる。一方の内燃機関モデルは、順次48Vマイルドハイブリッド化していくという。このような電動化の加速により、アウディは2025年までに、売上全体の30%から35%を電動化モデルとする目標を掲げている。

 

フォルクスワーゲンやメルセデスベンツよりも高いEV販売目標を掲げたアウディ。その市販EV第一号となるe-tronは、アウディのEV戦略の急先鋒として、勢いづけることができるか。

 

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▶前後アクスルに2つのモーターを搭載

e-tronのプラットフォームは、フォルクスワーゲングループのMLB Evoプラットフォームを採用し、ポルシェ タイカンと同じように2基のモーターをそれぞれ前後のアクスルに配置し、重量700㎏の95kWhのリチウムイオンバッテリーを車体の床下に搭載する。

 

2基の前後モーターの出力は、フロントモーターが170ps(125kW)、リアモーターが191ps(141kW)となり、トータルで361ps(266kW)/561Nmを発揮。6秒から10秒続くブーストモードでは、最高出力408ps(300kW)/664Nmを発揮する。

 

動力性能は、標準モードでの0-100㎞/h加速が6.6秒で、ブーストモードでは5.7秒の俊足ぶりである。最高速度は200㎞/hに達する。

 

駆動方式はもちろん、クワトロ4WDとなるが、基本的には後輪が駆動し、必要な時に前輪にトラクションが配分される設計になっているようだ。基本がFR設定で、車体床下に収納された重いバッテリーで低重心が強化されているとくれば、大柄で腰高のSUVであろうとも軽快なハンドリングが楽しめるはずだ。可変エアサスペンションがどのような出来栄えかは分からないが、オンザレールの走りは健在であろう。なお、ホイールは、オプションを含め19インチから21までが用意される。

 

▶クラストップのIペースに迫る航続距離

航続距離は、Cd値0.28を誇る空気抵抗の少ないボディ形状も相まって、新排ガス規制「WLTP」の基準で現在400㎞以上可能だそうだ。最終的には450㎞近くまで航続距離を延ばせそうだという。となると、クラストップのジャガーIペースの470㎞に迫る航続距離となる。航続距離は、EVの実用面で最も重要な点であるから、発売時に本当に450㎞に迫る航続距離を実現するなら、顧客にとっては非常に嬉しいニュースとなるだろう。

 

この航続距離を支えるバッテリーは、運転席側の150kWhの急速充電器を使えば、わずか30分で80%まで充電が可能だという。一方、助手席側の11kWの家庭用充電器を使うと、充電が完了するまでに8.5時間かかるという。もっとも、オプションの22kWの充電器を使うと、4.5時間で充電を完了させられるようだ。

 

その他の航続距離を延ばす方法として、高速道路でのコースティング走行やブレーキのエネルギー回生システムを活用する。アウディは、ブレーキのエネルギー回生システムについて、「ブレーキ・バイ・ワイヤ」というシステムを採用している。これは、ブレーキペダルの踏み込む力の強さによって、モーターを駆動させてエネルギー回生をするか、通常のブレーキパッドとディスクを使って減速ないしは停止をするかを選択するシステムである。なお、エネルギー回生のレベルは、ステアリングに備わるパドルで行うようだ。

 

e-tronは、航続距離でIペースに迫り、動力性能ではモデルXやIペースにやや溝を開けられている。決してトップではなく、トップを脅かす存在であるところが、いかにもアウディらしい。(続きは後編へ

 

Photo source:Audi

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