キング オブ サーキット、アヴェンタドールSVJ(前編)

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ランボルギーニは、全方位で進化を果たしたフラッグシップモデル「アヴェンタドールSVJ」を、アメリカのカリフォルニア州で開催された「クウェイ・モータースポーツ・ギャザリング」で正式発表した。

 

車名の「SVJ」とは、スーパーヴェローチェ イオタの略である。「スーパーヴェローチェ」とは最も速いという意味であり、最後の「イオタ」というのは、ランボルギーニの中で最もレースカーに近い傑出した動力性能を備えたモデルに冠される名である。これまで、ミウラとディアブロのレース仕様車だけにしか、この名を付けられることはなかった。

 

アヴェンタドールSVJは、デビュー直前に、20.6㎞のニュルブルクリンク北コースで市販車世界最速となる6分44秒97というタイムを叩き出した。この圧巻の記録は、これまで最速を誇っていたポルシェ911 GT2 RSを2秒半以上も上回る。

 

3代目イオタの名を冠したアヴェンタドールSVJは、キング オブ サーキットの称号をデビュー前からすでに手中に収めていたのである。

 

生まれながらにして、キング。

 

ナチュラル ボーン キングは、「ハイパワー × 軽量化 × 空力の最大化」というライバルのマクラーレンと同じ「最速の公式」で開発が進められた。

 

それでは、この最速の公式で生み出されたキングの中身をじっくりと探ってみよう。

 

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▶ランボルギーニ史上最強のV12

ランボルギーニ史上最強となる自然吸気6.5ℓV12は、大型化したサイドのエアインテークとチタン製のインテークバルブの採用により、パワーは強化され、770ps/8,500rpm、720Nm/6,750rpmを発揮する。これは、アヴェンタドールSよりも、30ps/30Nmのパワーアップとなる。

 

そして、トランスミッションは、史上最強のパワーに耐えうるよう改良された7速ISRが組み合わされ、その怒涛のパワーは4輪全てを介して路面へと叩きつけられる。

 

50㎏の軽量化を施したボディは1,525㎏となり、そこに770psのV12を搭載したことで、パワーウェイトレシオは、505ps/tを実現しているようだ。

 

パフォーマンスは、0-100㎞/h加速が2.8秒、0-200㎞/h加速は8.6秒でこなし、最高速度は350㎞/h以上という。息を呑む加速性能を誇る一方で、ブレーキング性能も卓越しており、時速100キロから完全停止するまでにかかる距離は、たったの30mである。

 

動と静、いずれにおいてもキングに相応しい性能である。

 

▶軽量化と空力の最大化を狙った新型エキゾーストシステム

新型のエキゾーストシステムは、アヴェンタドールSよりも軽量化が図られており、エキゾーストパイプの位置をリアエンド中央部に持ってくることでエンジンとの距離が短くなり、さらなる軽量化が実現している。また、この新型エキゾーストシステムは、背圧が低減されているだけでなく、これまで以上に官能的な自然吸気のV12サウンドを奏でてくれるという。

 

一方、ウラカン ペルフォマンテと同様の位置にエキゾーストパイプを移動し、リアディフューザーを大型化することで、ボディ裏側で生成されるダウンフォースをこれまで以上に増大している。

 

軽量化と空力の最大化を見事に両立した、新型エキゾーストシステムだ。

 

しかも、たまらない音を響かせてくれる。

 

▶ボディの表裏に施された空力の改良

ボディ開発のコンセプトは、これまたマクラーレンと同じ「機能に沿ったフォルム」なのだ。このコンセプトを軸に、サーキットでの素早い加速と高速コーナリングを実現すべく様々な改良が施され、先代のフラッグシップ「アヴェンタドールSV」よりも40%以上のダウンフォース増加とcd値を-1%低減しているという。

 

まず、ボディ表面の空力について、よりワイドになったフロント部分は、ALA(アクティブ・エアロダイナミクス・システム)を搭載した新型フロントバンパーが採用されている。この新型フロントバンパーは、サイドフィンとエアインテークを備える。

 

そして、空気を斬り裂かんとばかりに鋭く前へと突き出たフロントスプリッターも迫力満点であると同時に、フロント部分の挙動の安定に一役買っている。

 

ギラギラと威圧的に左右の角を突きつける猛牛「Charging Bull」のエンブレムの両サイドに設けられた立体的なエアアウトレットは、空気の流れを整えることでダウンフォースの増大に寄与しているという。

 

そして、ボディ幅ギリギリ一杯まで左右に伸びた巨大なカーボン製の可動式リアウィングは、最新の「ALA 2.0」を搭載する。両サイドのウィングレットは、ストレートや高速コーナリング時に発生するダウンフォースによって生じる乱気流を低減させ、マシンの挙動を安定させる。

 

ダウンフォース増大の70%は、車体表面の空力性能の向上によるという。残りの30%は、車体裏面の空力性能の向上によるそうだ。

 

ボディ裏側に設けられたボルテックスジェネレーター、フロントディフューザー、リアディフューザーが協調して働くことで、今まで以上の直進安定性とコーナーでの操縦安定性を実現。

 

空力対策をボディの表裏に徹底的に施す一方で、見た目のカッコ良さも同時に追求するのが、イタリアのスーパーカーブランドである。そんなアヴェンタドールSVJのデザインは、戦闘機から着想を得ている。

 

飛ぶように速いクルマを目指してなのだろうか、カーボン製のエンジンカバー中央部は、戦闘機を模した「Y字型」となっている。

 

この辺りは、イタリア人の遊び心を感じるお茶目な一面だ。(続きは後編へ

 

Photo source:LAMBORGHINI

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