硬派な開放感、メルセデスAMG GT R ロードスター

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メルセデスAMG GT Rのコンバーチブルモデルである「ロードスター」は、ニュルブルクリンクサーキットで、来年のデビューに向けた走り込みに余念が無いようだ。

 

2018年シーズンのF1セーフティカーも務めるメルセデスAMG GT Rは、セーフティカーとして史上最強と評されるほどの出来栄えだという。

 

一度見たら忘れられない「睨みのきく顔」と、極端なまでに長いフロントノーズは、往年のレーシングカーを彷彿とさせる硬派なスーパーカーである。

 

そんな硬派なスーパーカーの「ロードスター」バージョン。

デビューが一年先とはいえ、注目しないわけにはいかない。

 

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▶サーキット志向のエンジンはそのままに

メルセデスAMG GT R ロードスターには、クーペ同様の4.0ℓV8ツインターボエンジンが搭載される予定である。通常のメルセデスAMG GTよりもさらに軽量化が施されたサーキット志向のエンジンは、585ps/700Nmを発揮する。

 

トランスミッションは、7速AMGスピードシフトDCTが組み合わされ、軽やかでパワフルな加速力は後輪を介して路面へと伝えられる。

 

パフォーマンスは、0-100㎞/h加速を3.6秒でこなし、最高速度は318㎞/hに達する。対するロードスターのパフォーマンスは、クーペよりも数値上やや劣るものと思われる。

 

しかしながら、その差は最小限に抑えられるだろう。なぜなら、ルーフが撤去されたロードスターのボディ剛性補強のための重量増は、ソフトトップのルーフを含めてわずか35㎏程度に抑えられるからだ。

 

通常、クーペからコンバーチブルモデルになる場合、ボディ剛性補強のために100㎏強の重量増を覚悟しなければならない。しかし、メルセデスAMG GT R ロードスターは、常識的な値のおよそ3分の1の重量増で補強を完成してしまうそうなのである。しかも、サーキット志向モデルで、である。恐るべしや、メルセデスAMGの技術力。

 

▶ロードスターであろうと妥協しない空力性能

メルセデスAMG GT R ロードスターは、「GT R」の名に恥じないパフォーマンスを保持すべく、クーペ同様のエアロパーツを装着するという。

 

フロントバンパー前部に設けられたアクティブ・エアロダイナミクス・システムは、ダウンフォースを発生させ、フロント部分の挙動を安定させる。そして、フロントバンパー内部に設けられたエアパネルは、内蔵されているルーバーが通常時は閉じることで空気抵抗を低減し、高速走行時にはエンジン冷却のためにルーバーが開き、空力性能と冷却性能を巧みに両立する。

 

そして、メルセデスAMG GT Rのシンボルでもあるリアの大型ウィングと、ディフューザーはダウンフォースを最大化すべく、クーペと同様のものが装着されるだろう。

 

エンジン、空力のそれぞれで一切の妥協を許さない造り込みの姿勢は、「質実剛健で真面目」なドイツ流のクラフトマンシップのお手本である。

 

▶超軽量の3層構造のソフトトップ

ソフトトップは、アルミ、マグネシウム、スチールの3層構造となり、軽量化が徹底されるようだ。また、ロールオーバープロテクションは、アルミ製のクロスメンバーになるという。そして、ルーフライニングには、遮音性に優れた素材が採用され、静粛性に配慮された造りとなるようだ。この辺りは、高級車メルセデスとしての心遣いが伺える。

 

ロードスターであろうと、パフォーマンスは妥協しないという意気込みが形となった超軽量のソフトトップは、メルセデスAMG GT R ロードスターの走りの根幹でもある低重心に、しっかりと貢献してくれることだろう。

 

▶手強いライバルたち

メルセデスAMG GT R ロードスターは、その造りからして魅力的であることは疑いがないのだが、周りを見渡すと、負けず劣らずの猛者たちが控えている。

 

最も強力なライバルは、現在開発中のポルシェ911 GT3 カブリオレだろう。911の中でも、911 GT2 RSや911 GT3 RSに次ぐサーキット走行性能を備えるモデルだけあって、そのポテンシャルは計り知れない。

 

そして、アウディR8 V10 プラス スパイダー。こちらは、4輪駆動ではあるが、それは他のライバルにはない安心感でもある。なにより、自然吸気のV10がとにかく素晴らしい。

 

最後は格上となってしまうが、フェラーリ488スパイダー。670ps/760Nm、0-100㎞/h加速は3.0秒。

パワフルで速い。しかも、屋根がない。開放的なうえに、解放的。

 

やはり、別格だ。

 

▶今後の展開

スペックや発売時期などの詳細は、まだ分からない。しかし、パフォーマンス志向の顧客のために過激な「ブラック シリーズ」が用意されるという。

 

メルセデスAMGファンの方には、たまらなく強く突き刺さるモデルではないだろうか。

 

メルセデスAMG GT R ロードスターは、「屋根がない」ことを除いて、全方位でクーペと変わらない性能を突き詰める。「屋根がない」ことがパフォーマンスを損なうということよりも、オープンエアという開放的で贅沢な特徴へとすり替わり、クルマとしての魅力をさらに引き上げる方向に働いていると思えてならない。

 

硬派な姿勢で造り込まれた開放感とはいかなるものか、その全貌が明らかになる日を待ちわびる次第だ。

 

Photo source:Mercedes-Benz

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