新しいランボルギーニのフラッグシップモデル「アヴェンタドールSVJ」は、今月下旬に開催される「モントレー・カー・ウィーク」で、その全貌が明らかとなる。
車名の「SVJ」とは、スーパーヴェローチェ イオタの略である。最後のイオタというのは、ランボルギーニの中で最もレースカーに近い傑出した動力性能を備えたモデルに冠される名である。これまで、ミウラとディアブロのレース仕様車だけにしか、この名を付けられることはなかった。
なるほど、超人ハルクを連想させる写真の明るいグリーンは、アヴェンタドールSVJが超人的なパワーと速さを備えたモデルであることを暗に意味しているのかもしれない。
3代目イオタの名を冠したアヴェンタドールSVJとは、一体どんなサーキットモンスターなのだろうか。
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▶ニュルブルクリンク北コースで市販車最速記録を樹立
アヴェンタドールSVJは、つい最近、ニュルブルクリンク北コースで市販車世界最速となる6分44秒97というタイムを叩き出した。この記録は、これまで最速を誇っていたポルシェ911 GT2 RSを2秒半以上も上回る。
発売前のプロトタイプで、こんな驚愕の記録を打ち立てたことは、今月末の正式デビューでの強力なプレゼンテーションになることは間違いない。
▶もはやレースカーのエクステリア
サーキットでも、ギラギラと威圧的に左右の角を突きつける猛牛「Charging Bull」のエンブレムの両サイドには、2つのエアベントが備わる。2つのエアベントは、永遠のライバル、跳ね馬フェラーリを蹴散らさんばかりに、鼻息荒く息巻いているようにも映る。
そして、空気を斬り裂かんとばかりに鋭く前へと突き出たフロントスプリッター、ランボ史上最大とも思われる巨大なエアインテークの下に広がるサイドスカート、ボディ幅ギリギリ一杯まで左右に伸びた巨大なリアウィングなど、究極の速さを追求すべく、空力性能の最大化が徹底的に煮詰められている。
さらに、その空力性能向上への徹底ぶりは、エキゾーストパイプの設置箇所の移動にも表れている。従来は、リアディフューザーの中央にエキゾーストが設けられていたが、アヴェンタドールSVJでは、ウラカン ペルフォマンテのように、2本のエキゾーストパイプはエンジンに近いリアエンド中央へと移動し、リアディフューザーのスペースを十分確保することで、エアロダイナミクスの最大化を図っている。
もちろん、テールパイプの移動は、エキゾーストシステムの軽量化にもつながっている。そんなことよりも、自然吸気のV12が奏でるファンタスティックな音色がどうなっているかが気になって仕方ない。
徹底した空力対策で得られた強力なダウンフォースで、がっちりと路面をつかむべく、センターロック式のホイールには、ピレリ P Zero Corsaを履く。ちなみに、ニュル最速タイムを刻んだ異次元のグリップ力を備えるピレリ P Zero Trofeo Rsは、オプションで用意されるそうだ。
手強いライバルのマクラーレン・セナは、見た目ではなく、いかにダウンフォースを増やせるかを念頭においてボディが開発されている。
一方、見た目を捨てることは死を意味するイタリアンブランドは、機能とデザインを芸術的に融合させるイタリアンマジックで、きっと我々を唸らせてくれるだろう。
▶V12というサーキットモンスターの心臓
パワートレインは、通常のアヴェンタドールSと同じ自然吸気の6.5ℓV12であるが、大型化したエアインテークとチタン製のインテークバルブの採用により、パワーは大幅に強化されている。最高出力は740psから770psへ、トルクは690Nmから720Nmへと向上が図られ、どんな状況からでも一気に加速できる強靭な瞬発力を備える。
50㎏の軽量化を施したボディは1,525㎏となり、そこに770psのV12を搭載したことで、パワーウェイトレシオは、505ps/tを実現しているようだ。ランボルギーニによると、この数値はクラストップであるとのことだが、超軽量のマクラーレン・セナのパワーウェイトレシオは、異次元の668ps/tである。
トランスミッションは、専用のシフトプログラムへと書き換えられた7速LDFが組み合わされ、駆動方式は、後輪操舵(LRS)付きの第5世代ハルデックスカップリング式4WDが採用されるだろう。
そして、さらに磨きがかかったトラクションコントロールやESPに加えて、最新の電子制御空力装置であるアクティブ・エアロダイナミクス・システム(ALA)によって、ダウンフォースは最大化され、瞬時の加速と高速コーナリングは洗練を極めるだろう。
動力性能の具体的数値はまだ明らかにされていないが、エンジンのパワーアップや空力性能の向上、マシンの軽量化を勘案すると、0-100㎞/h加速は2.8秒以下、最高速度は350㎞/h以上をマークすることは間違いないと思われる。
▶今後の展開
冒頭でも述べた通り、アヴェンタドールSVJは、今月下旬の「モントレー・カー・ウィーク」でワールドプレミアが行われる。その際、より詳細なスペック、販売価格、発売時期が明らかにされるだろう。
生産台数も、車名が示す希少性や、クルマ自体の特別仕様ぶりを考えれば、少量限定生産になる可能性が高いはずだ。
今回のアヴェンタドールSVJは、最後のV12モデルとなる。したがって、世界中のランボルギーニ コレクターが、喉から手が出るほど欲しいモデルであることは間違いないだろう。
後継モデルは、2022年に登場予定で、V12ハイブリッドを搭載するようだ。迫りくるEVシフトの波は、ランボルギーニとて例外ではない。
▶反骨のファンタジスタが仕立てる究極のエクスタシー
スーパーカーの代名詞であるフォルムを半世紀近くも堅持し、実であるパフォーマンスでもスーパーカーのトップに君臨し続けるランボルギーニ。
少年時代の憧れは、一握りの人にしか手にできない、とても高価な反骨のファンタジスタ。
その原点は、農業用のトラクターにあり、永遠のライバルたるフェラーリに打ち勝つ一心で、研磨を積み重ね、気が付けば、フェラーリと肩を並べる世界的なスーパーカーブランドへと成長していた。
大成功を収めた今でも、猛牛のエンブレムが光り輝く農業用トラクターは世界中の畑で汗を流す。決して原点を忘れない反骨精神が、止むことのない進化を後押しする。
ランボルギーニは、見た目、音、走り、どれをとっても官能的な魅力に満ちている。
ランボルギーニは、我々の抱く万能感の塊であり、その先にある恍惚感は、人知を超えた快感の海である。
反骨のファンタジスタが仕立てる究極のエクスタシーとは…
アヴェンタドールSVJ。
Photo source:LAMBORGHINI
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