コンパクトSUVの雄、マカンがフェイスリフト

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マカンは2014年のデビュー以来、世界中でおよそ35万台以上の販売実績を誇るポルシェのコンパクトSUVである。

 

今回のフェイスリフトでは、デザイン、快適性、コネクティビティ、ドライビング性能を含むあらゆる要素をブラッシュアップし、厳しいテスト環境の下、進化を遂げたと言われるに相応しい水準にまで高められているようだ。

 

間もなく迫る今月末の中国でのデビューに備え、進化を遂げたマカンは、荒れたアスファルトの道路を走り抜け、アフリカ南部のレソト王国にある海抜3,400mの高地で、砂ぼこり舞う砂利道や細く険しい山岳路という悪路を次々と走破し、コンパクトSUVとは思えぬ本格的なオフロード性能を示して見せた。

 

その全貌は今月末の公式発表に譲るとして、熟成の域に入ったマカンを少し先取りしてみよう。

 

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▶スポーティさに磨きをかけたエクステリア

フルモデルチェンジではなくマイナーチェンジということで、エクステリアのデザインは現行モデルをほぼそのまま踏襲するものの、フロントエプロン、ヘッドライト、テールライトにアップデートが施されている。

 

テールライトはリアエンドの端から端まで直線的に伸びたデザインとなるようで、現行モデルよりもスポーティな印象となるようだ。

 

▶コネクティビティ充実のインテリア

インテリアもエクステリア同様に、意匠の変更はほぼないと言ってよいが、コックピットのデジタル化やインフォテイメントのアップデートは抜かりなく施されており、コネクティビティもより充実したものとなるはずである。

 

▶パワートレインは熟成志向か

今回のフェイスリフトの主役は、ボンネットの裏側にあると思われる。

 

エンジンは劇的なパワーアップというよりは、扱いやすさの向上という熟成志向での改良が施されていると思われる。パワートレインはディーゼル(欧州仕様)がラインアップから姿を消し、エントリーモデルは現行と同じ2.0ℓ4気筒ターボとなる。

 

マカンSは、3.0ℓV6ツインターボがおよそ15psアップの355psへとパワーアップすると予想される。そして、マカンターボはRS4に搭載される2.9ℓV6ツインターボが移植されると見られ、パワーは現行のマカンターボ・パフォーマンスを凌ぐ450psに達するのではないかと思われる。

 

当然のことながら、0-100㎞/h加速もスポーツカー並みになることは必至であるから、全貌が明らかになった暁には、その数値に怯んでしまうかもしれない。一方の足回りは、冒頭の南アフリカでの悪路走破性の向上からも見て取れるように、より洗練されたものへと進化を遂げていると思われる。

 

マカンの場合は、高速走行時の安定性としての4輪駆動と、悪路走破性としての4輪駆動が楽しめるとても欲張りなポルシェと言えるだろう。

 

ライバルのジャガーFペースやアルファロメオ ステルヴィオも、オンロードとオフロード性能を高次元で両立しているマカンの牙城を切り崩すのは難しいのではないか。

 

▶今後の展開

7月末の中国でのワールドプレミアで、詳細なスペック、価格、販売時期が明らかとなる。

 

▶ポルシェのSUV戦略

ポルシェのSUV戦略は、見事に潜在顧客をつかんで離さない。カイエンで始まったSUV戦略は、それまでポルシェを買うことに敷居の高さを感じて二の足を踏んでいた顧客を見事に掴んだ。

 

高級車を所有する顧客のそれまでの選択肢は、ドイツの御三家というのが定番であった。ポルシェはスポーツカーで、運転が上手くて車好きの人が買うクルマだというのが、カイエンが出るまでのポルシェのブランドイメージであった。

 

しかし、カイエンの登場でそのブランドイメージが一変する。

 

スポーツカーブランドのポルシェが、レジャーやファミリーを意識したSUVを登場させたことで、それまでのポルシェのイメージをうまく残しつつも、「ステイタスがあるスポーティな高級車」というブランドイメージを築いたのである。

 

ドイツ御三家が「ステイタス」のシンボル的なクルマであるとするなら、ポルシェはそのスポーティさを明確に打ち出した「ステイタスがあるスポーティな高級車」という新たな選択肢をマーケットに投げ込んだ。

 

一目でわかる堂々たる存在感、アクセルを踏めばめっぽう速く、細部まで妥協のない上質なインテリアでのひと時、顧客の要望にとことん応えるカスタマイゼーション。

 

ドイツ御三家にはない価値がそこにある。

 

事実、カイエンのオーナーのほとんどが、初めてポルシェを所有する人だという。

 

大成功を収めたポルシェのSUV戦略は、コンパクトSUV市場へと戦いの場を広げる。カイエンの弟分であるマカンは、ポルシェの間口をさらに広げ、カイエンはちょっと大きくて価格も高いという新興ポルシェオーナーにドンピシャのモデルとなった。

 

走る場所を気にせず、上質で快適な空間の中、家族と一緒に遠出ができる。

しかも、ボンネットの下は正真正銘のスポーツカー。

 

やはり、ポルシェのSUVは、特別である。

 

Photo source:PORSCHE

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