ベントレー100周年記念、ミュルザンヌW.O公開

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7月12日、ベントレーは来年迎える創立100周年を祝う記念モデルとして、創業者のウォルター・オーウェン・ベントレーの名を冠した「ミュルザンヌW.Oエディション」を公開した。ミュルザンヌW.Oエディションは、100周年の記念モデルであることにちなんで、100台の限定生産となる。

 

今回の特別モデルは、ウォルター・オーウェン・ベントレーが最後にデザインし、所有していたと言われる「ベントレー 8リッター」へのオマージュでもある。「ベントレー 8リッター」は、当時のベントレーの中で最も大柄でラグジュアリーなモデルであり、8ℓ直列6気筒のエンジンは英国で最もパワフルなものであった。

 

しかし、「ベントレー 8リッター」が登場した1930年は世界大恐慌の真っ只中であり、ベントレーも経済不況のあおりから経営不振に陥り、翌年の1931年にロールスロイスに買収される。彼の最後となる愛しきベントレーは、1930年から1931年にかけてのたった9か月という短命に終わった。様々な変遷を経てベントレーはフォルクスワーゲン傘下に入り、2006年に彼が無念にも手放した「ベントレー 8リッター」は買い戻されることとなった。

 

「ベントレー 8リッター」は、新生ベントレーによって見事に復元され、当時最強を誇ったエンジンの象徴であるクランクシャフトも大切に取り換えられた。厳重に保管されていた「ベントレー 8リッター」のオリジナルのクランクシャフトの一部は今回の特別モデルのために薄く切り取られ、一台一台にインテリアの一部として蘇る。

 

100年の歴史が凝縮された特別モデル「ミュルザンヌW.Oエディション」とは、どのようなクルマなのか、じっくり見ていくこととしよう。

 

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▶漆黒の紳士

ミュルザンヌW.Oエディションは、「ベントレー 8リッター」にインスパイアされた漆黒のボディとホイールに、アクセントとしてクローム製のボンネットストライプ、オプションのクローム製ラジエターグリルがあしらわれ、「フライングB」のマスコットがボンネットの上に鎮座する。

 

そして、バンパー下部、ホイール中央部、ドアのトレッドプレートにはW.Oのサインと100周年を祝う言葉が記された専用バッジが輝く。なお、ボディカラーは、ベントレーのカラーパレットから好きな色を選ぶことができる。

 

漆黒に包まれたミュルザンヌW.Oエディションは、けばけばしい装飾ではなく、実質だけで、その価値を十分に主張している。

 

▶贅を極めた優美なインテリア

インテリアは通常のミュルザンヌと同じであるものの、「ベントレー 8リッター」を意識した豪華なマテリアルで仕立てられており、全体を覆う深紅のファイヤーグローレザーとウォルナットのウッドパネルが、贅を極めたエレガントな空間を演出する。

 

ラムウールのフロアカーペット、リアシートのミニバー用のグラス、プライバシーカーテン、リアエンターテイメントシステムも備えるところは、特別モデルの証だろう。そして、ヘッドレストにはW.Oのサインがエンボス加工される。

 

さらに極めつけとして、リアシートのアームレストに備えられたミニバーには、「ベントレー 8リッター」のクランクシャフトのスライスが細長い小窓からその姿をのぞかせる。

 

小窓の下には、このスライスがベントレーの歴史を語る上でいかに大切であるかを伝えるメッセージが刻まれたプレートがしつらえられている。

 

なお、ミュルザンヌW.Oエディションは、現行のミュルザンヌの3つもモデルから顧客の要望に応じて、コーチビルディング部門のミュリナーが手作業で一台一台を丁寧に組み立て、大切にオーナーの元へ届ける。もちろん、価格はオーナーの要望によってそれぞれとなる。

 

▶今後の展開

ミュルザンヌW.Oエディションは、8月下旬のペブルビーチ・コンクール・デレガンスで正式デビューし、ベントレー創立100周年目の2019年にデリバリーされる予定だ。

 

▶100年の歴史とこれからに思いを馳せる

リアシートにゆったりと腰を掛けながら、スコッチウィスキーを片手に取る。

 

アームレストに視線を落とすと、100年の歴史の象徴がきらりと煌めく。

 

ピートの効いたシングルモルトを少し口に含む。おもむろに瞼を閉じ、静寂を味わう。

 

「速いクルマ、上等なクルマ、そして最高のクルマを造る」

 

シンプルなベントレーの企業理念は、100年が経とうとする今も健在である。

 

Photo source:BENTLEY

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