コードネーム「G20」と名付けられた7代目となる新型3シリーズ ツーリングは、ドイツの公道でテスト走行を入念に行っているようだ。フルモデルチェンジを果たした新型3シリーズは、10月に開催されるパリモーターショーで正式デビューする運びとなっている。
BMWのベストセラーとして根強い人気を誇る3シリーズであるが、ライバルのCクラスには、快適な乗り心地やインテリアの質感、ゆとりあるラゲッジスペースなどで一歩リードを許し、販売台数としては長年2位に甘んじていることも事実。
新型3シリーズは軽快なハンドリングはそのままに、プレミアムDセグメントのベンチマークであるCクラスを追い抜くべく、快適な乗り心地を一層磨き上げたモデルになりそうだ。
もちろん、ライバルはCクラスだけではなく、アウディA4、ジャガーXEも名を連ねる。
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▶予想スタイリング
シャープなヘッドライトと、よりスリムになったキドニーグリルで、フロントマスクはより精悍さを増すものと予想される。これはBMWの最新SUVに見られる大きく存在感を増したヘッドライトとキドニーグリルのコンビネーションとは対照的なアプローチだ。
クルマの個性によって、BMWが持つスポーツマインドを巧みに使い分けて表現している証かもしれない。
その他のスタイリングについては未確認の部分が多い状況ではあるが、全体的には最新の5シリーズのデザインを踏襲した「小さな5シリーズ」のような外観となりそうだ。
なお、新型3シリーズツーリングでは、5シリーズ譲りの独立開閉式リア・ウィンドーが採用されるようで、小さな荷物などの出し入れの際に、テールゲート全体を開閉せずにウィンドー部分だけの開閉で用が済むという優れものである。
▶大型化必至のボディ
ボディは打倒Cクラスを果たすべく、現行よりも長くワイドになるのは必至かと思われる。
プラットフォームはBMWの最新モデル「X5」や「8シリーズ」に採用されている「CLAR」であり、ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドのパワートレインに対応するだけでなく、フルEVのパワートレインにも対応できる非常に拡張性の高いプラットフォームだという。
そして、ボディ素材の見直しにより軽量化とねじり剛性アップも図られているようだ。さらに、cd値は5シリーズに肉薄する数値(cd値0.22)にまで高められ、パフォーマンスアップと燃費の向上の両立を狙う。
正真正銘のフルモデルチェンジと言える手の入れようだ。
▶予想パワートレイン
BMWは先ごろエンジンラインアップからディーゼルを完全に外したボルボと違い、ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドのフルラインアップで攻勢をかける。
一連のディーゼル問題に端を発し、ディーゼル規制が非常に厳しくなっているドイツでは、ハンブルクで旧式ディーゼル車が進入禁止になるなど、ディーゼル車を取り巻く環境が急速に厳しくなりつつある。
そんな状況においても、BMWはディーゼルを重要なエンジンラインアップの一つであるという姿勢を崩していない。
パフォーマンスと環境性能を高次元で両立させる確かな技術に、揺るぎない自信を持っているからこその決断なのかもしれない。
さて、エンジンはガソリンが3気筒、4気筒、6気筒を展開し、ディーゼルは4気筒と6気筒が展開され、これらのエンジンは燃料噴射装置、微粒子フィルター、冷却システムなどにもしっかりと改良が加えられており、パワーと環境性能を共にレベルアップさせている。
エントリーモデルとなる1.5ℓ3気筒ターボの318iは140ps以上となるようだ。そして、2.0ℓ4気筒ターボの320iや330iは190ps~260ps以上となり、320dは210ps前後となりそうだ。さらに、メルセデス AMG C43やアウディS4に対抗するモデルとして、M340i Mパフォーマンス(後輪駆動)は3.0ℓ直列6気筒ツインスクロールターボで365ps以上、M340d xDrive Mパフォーマンス(4輪駆動)は3.0ℓ直列6気筒ツインターボで325ps以上となりそうだ。
トランスミッションは、ZF製の8速ATが基本的に組み合わされるが、下位モデルでは6速マニュアルの設定も用意される。
一方のプラグインハイブリッドモデルは、ミニ カントリーマンのパワートレインをベースに1.5ℓ3気筒ターボとモーターの組み合わせで225ps以上のパワーを生み出すようだ。さらに、2.0ℓ4気筒ターボとモーターを組み合わせた280ps以上のハイパワーモデルの登場も噂されている。
今後のBMWは、ハイブリッドモデルも魅力的に映る。
▶軽快さと快適性の両立
「駆け抜ける歓び」は鋭いエンジンレスポンスと軽快なハンドリングから生まれるが、新型3シリーズには、さらに快適な乗り心地を実現するという大きな課題がのしかかっている。
BMWはメルセデスのようにエアサスペンションの採用はしないが、可変ダンパー、電子制御アクティブ・ロール・スタビライゼーション、第2世代のアクティブステアリング、最新のトルクベクタリング機能の合わせ技で、高速走行時やコーナリング時のロールを抑え込み、よりフラットで快適な乗り心地を軽快なハンドリングを生かしたまま実現する。
BMW流の軽快さと快適性の両立の完成度やいかに…
▶予想インテリア
インテリアについては、まずもって上質なマテリアルによる質感の向上が至上命題である。この点、メルセデスとアウディのインテリアの質感はとても高く、一切の妥協が見当たらないと言っていいかもしれない。一方のBMWは、現行モデルでも未だ改善の余地ありという印象が拭えないのが正直なところだろう。
ドライバーオリエンテッドなコックピットの設計はそのままに、上位モデルではフルデジタルのメータークラスターが採用され、最新型のiDrive 7.0がセンターコンソールに収まり、コネクティビティの充実も図られるだろう。
オプションのヘッドアップディスプレイも最新型へとアップデートされる。また、新型3シリーズからはサイドブレーキがボタン式の電動パーキングブレーキに代わり、ギアシフトまわりはスッキリしたデザインとなるようだ。そして、インテリアのトリムやシートの革など、オプションの幅もこれまで以上に広がり、自分好みの空間を作り上げることができそうだ。
▶新型3シリーズへの期待
日本で最も目にする輸入車の一つであるBMW 3シリーズ。
セダンもワゴンも、スポーティな高級車の代名詞である。
鍛え抜かれたアスリートのように均整がとれたシルエットは、躍動感があり美しくもある。
この曲線美は、ドイツ御三家の中でも随一ではないだろうか。
スポーティな高級車BMWの「スポーティ」には、いくつもの「スポーティ」が同居している。
気持ちのいいエンジンフィール、軽快なハンドリング、路面からの雑味の無いフィードバック…
そして、大人の落ち着きと懐の深さを「スポーティ」に味わえる逸品こそ、新型3シリーズかもしれない。
Photo source:BMW
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