ゴルフRプラス、2023年にHVで登場か

世界的な感染拡大が続くコロナウイルスの影響を受け、「ゴルフR」の今年中のデビューが危ぶまれる中、超究極の「ゴルフRプラス」の情報が舞い込んできた。

新型ゴルフRは330psを発揮し、ライバルはメルセデスAMG A35、BMW M135i、アウディS3。一方のゴルフRプラスは400psを発揮すると予想され、ライバルは量産4気筒最強のメルセデスAMG A45とA45S、アウディRS3となる。

この点、アウディRS3は2.5ℓの5気筒ターボエンジンで400psを捻り出すところ、メルセデスAMG A45やA45Sは4気筒ターボで400ps超のパワーを発揮するので、やはりメルセデスAMGのエンジンはこのハイパー・ホットハッチのクラスでは一歩抜きん出ていると言える。

そこで気になるのが、ゴルフRプラスが本当に400psを4気筒ターボで発揮させられるのかということだ。

▶HVで400psを実現する？

初代ゴルフのエンジンがアウディ製であったかのように、初代ゴルフRプラスに搭載予定のEA888型2.0ℓ4気筒ターボは、アウディがチューニングを手掛ける。

パワーは「R420計画」のベースとなった「R400コンセプト」と同等の、380ps~400ps/450Nmを発揮。ハイブリッドシステムの搭載は見送られるとのことであったが、ここへ来てハイブリッドシステムによる400psの実現という案が急浮上しているのである。

理由はこうである。どうもEA888型2.0ℓ4気筒ターボをチューニングして400psを量産することに課題が山積しているようなのだ。そこで、その解決策として白羽の矢が立ったのが、アウディの2.5ℓ5気筒ターボエンジンである。しかし、アウディはCセグメントにおける自社のハイパフォーマンスエンジンの代名詞を親会社であるフォルクスワーゲンに提供することを頑なに拒んでおり、どうもらちがあかないようなのである。加えて、仮にゴルフRプラスがアウディRS3のエンジンを搭載するとなると、価格的に優位なゴルフRプラスにアウディRS3の顧客を奪われ、グループ間でパイの取り合いになり、最も避けなければならないカニバリを起こしてしまうのだ。

そこで、苦肉の策として、新型トゥアレグRのようにハイブリッドシステムを搭載した「Rモデル」としてゴルフRプラスを開発する案が浮上したのである。ちなみに、ゴルフRプラスのハイブリッドシステムは、フロントアクスルを4気筒ターボエンジンで駆動させ、リアアクスルはモーターで駆動させる。そうすることでハイブリッドシステムのトータルパワー400psの達成を狙うのである。

▶HVによる問題

ライバルと目される新型メルセデスAMG A45Sのパフォーマンスは、0-100㎞/h加速が3.9秒。最高速度は270㎞/h。このパフォーマンスは、モーターと重いバッテリーを搭載しないことで生み出されている。もし、ゴルフRプラスがハイブリッドシステムにより400psというハイパワーを実現したとしても、パフォーマンスについてはメルセデスAMG A45Sに軍配が上がってしまう可能性がある。その理由はもちろん、重さである。

モーターと重いバッテリーで低重心化は強化できるかもしれないが、ハイブリッドシステムはなにせ重い。特に、ハッチバックのように元々軽量のクルマに、目一杯チューニングを施したエンジンを搭載して初めて達成されるハイパーなパフォーマンスは、あらゆる面で妥協を許さない改良の結集なのである。とすると、パワーは400psだが、0－100㎞/h加速は4.0秒を切れないという悔しい結果になってしまうかもしれないのである。パワーはあるが、速さが足りなりという皮肉な結果となってしまう（とんでもなく速いのには違いが無いが…）。

まぁ、どんな形であれ、メルセデスAMG A45Sのライバルとしてゴルフが立ちはだかる姿は、いちクルマのファンとしては見てみたい。

▶2023年に登場か

このように、クルマの心臓部に関する情報が錯綜しているのが、ゴルフRプラスの現状である。実現するか否かも含めて、我々の目の前に現れるのは、まだまだ先の話になりそうだ。現段階の大方の予想としては、8代目ゴルフのマイナーチェンジの時期である2023年頃に、ゴルフRプラスが導入される可能性が高い。本気でゴルフRプラスの登場を信じ、本気で購入を検討されている方には、まだ3年以上も貯金する時間が残されている。

なにわともあれ、非常に残念であるが、まだ新型ゴルフRもデビューしていない現状では、ゴルフRプラスの2020年発売ということはまず無いだろう。AUTO JACK一同、予想が外れて残念ではあるが、引き続き、ゴルフRプラスの情報を入手次第、お伝えしていきたいと思う。