フェラーリは、488GTBの後継車となる新型「F8トリブート」を公開した。
458イタリアから始まった精妙な機能美を纏った21世紀の跳ね馬は、さらなる洗練を経て現れた。
新型「F8トリブート」は、特別モデルを除くフェラーリのV8エンジンとしては、史上最強のパワーを誇る量産モデル。
それでは早速、新型「F8トリブート」を見ていくとしよう。
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▶フェラーリ史上最強のV8
新型「F8トリブート」は、3.9ℓV8ターボを搭載。パワーは、720ps@8,000rpm、770Nm@3,500rpmを発揮する。先代の488GTBよりも、50ps/10Nmのパワーアップを実現している。
フェラーリのV8と言えば、2016年から3年連続で「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー」に輝いた生ける名エンジンだ。しかも、2018年に至っては、過去20年間で最も優れたエンジンに贈られる「ベスト・エンジン賞」も受賞している。
「優秀なエンジン=ドイツ勢の牙城」という関係は、どうもV8では当てはまらなかったらしい。
▶一級品のパフォーマンス
イタリアが誇る至極のエンジンは、パフォーマンスも一級品。0-100㎞/h加速は2.9秒と、488GTBよりも0.1秒速い。0-200㎞/h加速は7.8秒と、488GTBよりも0.5秒速い。そして、最高速度は488GTBよりも10㎞/h速い、340㎞/h。ハードコアモデルの488ピスタと同等のパフォーマンスを発揮する新型「F8トリブート」。その俊足には、ターボラグなどという言葉は存在しないのだろう。
もっとも、エンジンの優秀さだけでこのようなレースカー並みのパフォーマンスを発揮することは難しく、軽量化と空力性能の向上あってのハイパフォーマンスである。
新型「F8トリブート」は、488GTBよりも40㎏軽量化されており、車重はわずか1330㎏。加えて、488ピスタで初めて採用されたフロント部分の「Sダクト」の改良により、ダウンフォースを15%増大させることに成功した。
フェラーリ史上最強のV8エンジン、40㎏の軽量化、15%のダウンフォースの増大が、一級品のパフォーマンスを造り上げた大きな立役者だ。
▶21世紀の跳ね馬の手綱
フェラーリが追求する速さは、コーナーが連続するサーキットを、いかに速く駆け抜けるかに全てが注がれている。
F1技術からフィードバックを受けた最先端の足回りは、トラクション、スタビリティ、ダンピング、ディファレンシャルなどを統合制御する「サイドスリップ・コントロールシステム(SSC)」の最新版6.1が採用されている。
そして注目すべきは、「フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE+)」がSSCに組み込まれている点である。FDE+は、ドライブモードを「レース」に切り替えると起動し、コーナリング時にブレーキキャリパーの制動圧を調整して、コーナーをより曲がりやすくしてくれる装置だ。
このFDE+の働きにより、ドライバーはこれまで以上に意のままのハンドリングが可能となる。それは、ドライバーとクルマの意思が繋がっているかのごとく、即時的かつ予見的にクルマが反応してくれるのだ。まさしく、人馬一体。
限界域でのマシンコントロールを容易にしてくれるFDE+。この機能をより確固たるものとするため、フェラーリは「21世紀の跳ね馬の手綱」である小径のステアリングを新たに採用し、瞬時の的確な操作を可能にしている。
▶デザインに宿る過去の名車たち
新型「F8トリブート」のデザインは、高度な機能美を備えた458イタリアを受け継いでいる。しかし、そんな21世紀の跳ね馬の機能美の中には、V8を載せた20世紀の跳ね馬たちの魂が宿っている。
新型「F8トリブート」の透明のエンジンカバーは、F40をモチーフにしている。そして、左右に2つずつある丸形のテールライトは、308GTBへのオマージュである。「トリブート」という伊語には、「賛辞」という意味がある。21世紀に生まれた最強のV8エンジンモデルは、往年のV8を載せた名車に敬意を表し、そのデザインの一片を自らの一部としている。
温故知新的発想のデザイン。フェラーリファンには、たまらない演出かもしれない。
▶ボディサイズ
全長:4611mm × 全幅:1979mm × 全高:1206mm。車重:1330㎏。
▶今後の展開
新型「F8トリブート」は、いよいよ開催されるジュネーブモーターショーで正式に披露される。
記念すべきその日は、3月5日。
Photo source:Ferrari
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