今月5日にBMWは新型X5を発表したが、ガチンコのライバルであるメルセデスが指をくわえて見ているわけではない。
2016年に3代続いたMクラスの後継者として初代GLEが誕生したのであるが、「W167」というコードネームの2代目GLEは新型X5を追撃すべく、最終テスト段階に入った。メルセデスが誇る新型ミッドサイズSUVは、今年11月末から開催されるLAモーターショーで正式デビューする見込みだ。
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▶予想エクステリア
フロントデザインは、最新のCLSやAクラスに見られるデザインコンセプトが踏襲され、ヘッドライトはややつり上がったシャープな印象を与えるものとなる。とはいえ、フロントグリルはSUVとしての武骨さを顕示すべく大きなものとなりそうだ。
リアデザインはスポーティさがこれまで以上に強調され、テールライトは現行のGLEに通ずるような直線的なデザインとなるだろう。フロントとリアのデザインがよりスポーティな方向へと舵が切られたことで、大きなボディとは裏腹にデザインの力で全体的に引き締まった印象を与えるものになるだろう。
▶予想インテリア
インテリアデザインは最新のデザインコンセプトが貫かれ、コックピットのインストゥルメントパネルは、12.3インチの高精細ワイドディスプレイ2枚が1枚のガラスカバーで視覚的に融合したワイドスクリーンコクピットになる。このワイドスクリーンコックピットには、Aクラスに搭載されている最新式のMBUXインフォテイメントシステムが装備される。
エクステリアとインテリアともに、その時々のブランドのデザインコンセプトをどの車種にもうまく溶け込ませているのには、その巧みな統一感ゆえの美しさを感じる。これは建築制限を細かく課すことで、街並みの景観を統一することに美意識を見出すヨーロッパ特有の文化が自動車産業にも深く根付いている証拠かもしれない。
▶予想パワートレイン
プラットフォームは、GLCで採用されているMHAプラットフォームとなる。
パワートレインとしては、現行Eクラスに搭載されている2.0ℓ4気筒ターボディーゼル(欧州仕様)、マイナーチェンジしたSクラスで復活した直列6気筒のガソリンとディーゼルが採用される見込みだ。また、2.0ℓ4気筒ターボにリチウムイオンバッテリーを備える電動モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドも遅れて導入される可能性が高い。
さらに、AMG GLE63やAMG GLE63 Sもトップモデルとして用意されることになるだろう。エンジンは最新のAMGモデルで展開されている4.0ℓV8ツインターボになると見られ、パワーは600ps前後になると思われる。
▶軽量化と空力性能の向上
新型GLEでは燃費改善にも積極的な改善策がとられているようで、エントリーモデルには4輪駆動ではなくFFモデルを設定し軽量化を図る。そこにダウンサイジングしたエンジンを組み合わせ、0.32から0.30へと改善したcd値の効果も合わさることで、現行よりも20%近い燃費向上を図るという。
高級ブランドであるメルセデスといえども、世の中の潮流には逆らえず、涙ぐましい努力が伺える。
▶今後のSUV戦略
SUV戦国時代と言われて久しいが、世界1位と2位の自動車市場である中国とアメリカでのSUV人気はまだまだ衰える気配がない。むしろ、その人気は過熱の一途を辿っているといっても過言ではないだろう。
そんな中、ドイツ御三家をはじめとする欧州のプレミアムブランドは、こぞって新型SUVを投入し、SUVの中にも細かなカテゴリーが生まれてしまうほどの盛況ぶりである。
メルセデスは今年の11月末に新型GLEを発表するが、翌年には間髪入れずX6のライバルである新型GLEクーペを投入する。そして、今後2年の間に新型GLA、GLB、GLSと矢継ぎ早に製品投入を行う計画だ。
異次元のスピードを要求する中国とアメリカを一番の顧客としているのだから仕方はないが、少し時間をかけても長い間愛されるクルマを作るというクラフトマンシップも忘れないでほしいと願う。
Photo source:Mercedes-Benz
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