メルセデスベンツの世界的なチューニングブランドのブラバスは、A250をベースにしたホットハッチ「ブラバス B25」を発表した。
ブラバスの「ダブルB」のエンブレムが強烈な存在感を放つその姿は、AMG A35を彷彿とさせるエアロキットを纏い、ベースがメルセデスとは思えない「やんちゃ坊主」な外観だ。
ハイパワーチューニングで、ライバルのゴルフGTIを凌ぐスペックを手に入れたブラバス B25。果たして、洗練を極めたGTIを脅かすほどのクオリティーを発揮できるか。
それでは早速、やんちゃなブラバスB25を見ていくとしよう。
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▶ゴルフGTIを凌ぐパワー
ブラバスB25の2.0ℓ4気筒ターボエンジンは、メルセデス純正のECUにブラバス独自のプラグアンドプレイ式サブコン「パワーエクストラ B25 S パフォーマンスキット」を割り込ませることで、燃料噴射・点火・ブースト圧のマッピングがブラバス仕様となり、エンジンの出力アップを実現。
パワーは、270ps/430Nmを発揮。A250よりも、46ps/80Nm上回るパワーアップを実現した。GTIの230ps/350Nmはおろか、A35の306ps/400Nmに肉薄し、最高トルクでは30Nmも上回るマッチョぶりだ。クラストップのパワーは、7速DCTを介して、前輪ないしは四輪全てに伝えられる。
そのパフォーマンスは、0-100㎞/h加速が5.9秒となり、A250より0.3秒速く、GTIより0.5秒も速い。最高速度はリミッター作動で250㎞/hに達する。とにもかくにも、430Nmというトルクは、A35やゴルフRを超える。この溢れんばかりの強力なトルクは、ブラバスならでは。ライバルを圧倒するトルクフルな加速は、運転するたびニンマリするだろうし、その怒涛のパワーは病みつき間違いなしだ。
「ダブルB」のエンブレムで「メンチを切る」ようなやんちゃな風貌と、ハッチバックの領域から飛び出したパワーを併せ持つブラバスB25であるが、エキゾーストシステムは意外に周囲への配慮がなされたものだ。
ステンレス製エキゾーストは、2つのモードを切り替えできるアクティブフラップを備えている。「スポーツ モード」は、パワフルなエンジンサウンドを声高に轟かせてくれる。対照的に、「ホームカミング モード」は、ご近所に迷惑が掛からないよう控えめな音量に抑えられている。男前なクワッドエキゾーストパイプは、ステンレス製かカーボン製のいずれかから選択可能だ。
A35やゴルフRほどのパフォーマンスは求めないが、ゴルフGTIぐらいのパンチの効いた動力性能を備え、上質なインテリアで優雅だがスポーティなドライビングを愉しみたい方には、ブラバスB25がハマるのではないだろうか。
また、ゴルフGTIのパフォーマンスで、4WDモデルが欲しかったという方にとっても、ブラバスB25の4MATICモデルは、魅力的ではないだろうか。
▶やんちゃ坊主なルックス
エクステリアは、ブラバスの「ダブルB」のエンブレムがひと際目立つ独自のラジエターグリルを採用し、グロスブラックのフロントスポイラーとサイドブレードが、スパルタンな印象を与える。リアに回ると、ダウンフォースを増大させるリアウィングがただ者ではない雰囲気を醸し出す。極めつけは、クワッドエキゾースト。後ろ姿が、カッコいい。
足元のホイールは様々なデザインのものが、オプションを含め17インチから20インチまで用意される。専用のチューニングが施されたサスペンションに、このクラスでは特大の20インチホイールを履けば、より俊敏で切れ味鋭いハンドリングが可能となるらしい。
組み合わされるタイヤは、コンチネンタル、ピレリ、ヨコハマの3つのタイヤメーカーから好きなものを選べる。サイズは、235/30R20と、このクラスとしては太い。
▶ラグジュアリーなインテリア
インテリアの特徴としては、多彩で上質なマテリアルから自分好みのものを選べること。本革は、アルカンターラを含む様々な種類の本革が取り揃えられている。その他に、アルミ製ペダルや、ベロア製フロアマットなども用意されている。
インテリアは、ベースがAMGでないためか、見た目と比べると控えめなドレスアップに留まっている。しかし、インテリア全体を覆う上質な本革の効果か、ベースのA250よりもラグジュアリーな雰囲気だ。
「スペクトラム」というサービスを頼むと、自分好みの本革の種類と色が選べ、キャビン全体を本革で覆うことができるようだ。チューニングメーカーならではの、至れり尽くせりのサービスだ。
▶今後の展開
発売時期や価格は明らかにされていない。しかしながら、ブラバスは、すでにAクラスのディーゼルモデルのブラバス化に取り掛かっているらしく、今後もブラバスの「Aクラス改造計画」から目が離せない。
▶ゴルフを超えるのは簡単ではない
メルセデスは、ハッチバックの領域に進出してから、これまで購入を躊躇していた多くの若者を惹きつけ、大成功を収めている。そんな大成功の裏には、Aクラスのハッチバックを開発するにあたり、永遠のベンチマークたるゴルフをわざわざ購入して分解し、その細部まで徹底的に調べ上げ、ゴルフを丸裸にしたという逸話があるほどだ。それでも、完全無欠のゴルフを倒すのは難しい。
ゴルフの洗練を極めた乗り心地は、ハッチバック界でも随一。高級車のベンチマークとなる乗り心地を体現し続けるメルセデスでも、ハッチバックにおけるゴルフの走りを超えることは相当に難しい。事実、ゴルフRにパワーで圧倒的に勝るA45は、足が硬すぎる。そして、欧州で今年10月に発売したA35も、乗り心地の面では、まだまだのようだ。
些細なことだが、ゴルフは、他のハッチバックよりも前方視界がすこぶるいい。サイドの見切りもよく、ポロよりも小さく感じるほど取り回しが良い。こんなちょっとした事の積み重ねが、ゴルフを永遠のベンチマークたらしめている。ゴルフのあまりの出来の良さに、他のブランドが、何とかして個性を出そうとするのだが、それが結局、ゴルフと比べた時に欠点になってしまっていることも多々ある。人によっては、ゴルフは面白くないと評する人もいる。しかしそれは、ゴルフが全方位で得点が高いがため、これといった特徴をつかみにくいという贅沢な皮肉なのだ。「質実剛健」を地で行くゴルフ。このクルマを超えるのはそう簡単ではない。
Photo source:BRABUS
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