イギリスのスポーツカーブランド「リスター・モーター・カンパニー」は、世界最速のSUV「LFP」の先行予約の受付を開始した。
LFPは、ジャガーFペースSVRをベースに、エンジンのパワーアップはもちろん、カーボン製ボディパネルの採用で軽量化を図り、専用エアロパーツの装着で空力性能の向上を果たしている。その結果、世界最強最速のSUVランボルギーニ ウルスの最高出力と最高速度を大幅に超えるパフォーマンスを実現した。
リスターは、1950年代に直列6気筒を搭載したジャガーDタイプをベースとしたレーシングカー「ノブリィー・ジャガー」で、当時のモータースポーツ界で名を馳せた。その後、紆余曲折があり、2013年に現在の会社となった。新生リスターは、今年8月にジャガーFタイプSVRをベースにしたLFT-666を99台限定で発売し、いよいよ来月デリバリーが開始される。
このLFT-666は、同社65年の歴史の中で最も早く完売し、大成功を収めた。
ジャガー版アルピナを目指すリスター。
リスターのチューニング部門が手掛ける2代目モンスターマシン「LFP」は、LFT-666の成功に続くことができるか。
SPONSORED
SPONSORED
▶空力とシックなカッコ良さを両立したデザイン
ブリティッシュ レーシング グリーンのボディに、鮮烈なイエローがひと際目立つフロントグリルは、逞しいSUVの武骨な世界観を見事に表現。そして、空力性能を向上させるべく、リスター独自の巨大なエアインテークを備えるフロントバンパー、ホイールアーチ、サイドスカートがしつらえらえる。
サイドに目をやると、フロントホイールアーチ後部のエアダクトが無くなり、リスター流のすっきりとしたデザインへと変様。もっとも、フロントホイールアーチ上部には、イエローのラインがアクセントを効かせる。
ボディ下部は、大きな体躯に引き締め感を出すためだろうか、ブラックで仕上げられている。そして、20インチ以上と思われる存在感抜群の2トーンカラーのホイールの奥には、巨大でド派手なイエローのブレーキキャリパーが装着されている。
リアは、アクセントカラーのイエローのルーフスポイラーが設けられる。一方、スポーティでシャープな印象のテールライトや、エアベントを備えたリアバンパーは、ベースとなるジャガーFペースSVRと同じデザインだ。
クワッドエキゾーストは、設置位置がベースモデルよりも両端へと移動し、大型化したリアディフューザーが中央部に設けられている。この大型化したリアディフューザーによって、ダウンフォースはこれまで以上に増大するはずだ。
リスター独自の空力を考慮したボディは、仰々しさがなくシックなカッコ良さでまとめられている。ボンネットの下に潜むモンスターのことを考えると、むしろ大人しいぐらいの印象。しかし、よくよく見ると、空力の機能を全うすべく精緻にデザインされている。
▶ジャガーよりも豪華なインテリア
インテリアは、ジャガーFペースSVRと同じであるが、より上質なマテリアルで仕立て上げられているようだ。ステアリングはブラックのレザーであるが、それ以外は、ダークグリーンとブライトブラウンの2トーンカラーの上質なレザー仕立てだ。
世界最速SUVだけあって、カーボン製パネルが随所にあしらわれており、レーシーな雰囲気作りも抜かりが無い。SUVとは思えぬコックピットのバケットシートのヘッドレストには、リスターのロゴがエンボス加工されている。後席のレッドレストにも、同様のエンボス加工。そして、シート中央部の贅沢なダイヤモンドステッチが、スポーティなだけでなく、高級なクルマでもあることを主張する。
リスター独自のカラーコーディネイトと上質なマテリアルのチョイスが、高級感を一層引き立てているのだ。
▶世界最強最速SUVのパワートレイン
ブリティッシュ マッスルカーの心臓部である5.0ℓV8スーパーチャージドエンジンは、679psを発揮し、0-100㎞/h加速は3.7秒でこなし、最高速度は322㎞/hに達する。
確認しておくが、LFPはスーパーカーでなく、SUVである。
ベースとなるジャガーFペースSVRが、550ps/680Nmで、0-100㎞/h加速は4.3秒、最高速度が283㎞/hであることを考えると、LFPがいかに恐ろしいほどのパフォーマンスを備えているかが分かる。見た目は同じだが、中身はまったくの別物。
しかも、現在、世界最強最速SUVであるランボルギーニ ウルスの650psを約30ps上回るどころか、最高速度は20㎞/h近く速い。まさに、スーパーSUV。
リスターは、LFPが最強最速のSUVであることは最低限の条件であり、ライバルは名だたるスーパーカーであると豪語する。
クルマ造りのマインドセットなるものが、明らかに違う次元だ。
▶今後の展開
エンジンスペックやその他の技術的な詳細については、数週間以内に公表するそうだ。
価格は、1台およそ2,000万円以上(2018年9月10日時点)からのスタートとなる。スタート価格は、ライバルのウルスに比べるとお値打ち価格であるとも考えられる。とはいえ、リスターLFPは、ビスポークモデルでもある。顧客の要望に応じ、一台一台が違う個性を宿す。つまり、カスタマイゼーションで、あっという間に、ウルスを超える価格になるのだ。
生産台数はまだ明言されていないが、250台の限定生産となりそうだ。
手の込んだ外観と内装、そして比類ない圧巻のパフォーマンス。
極めて希少でハイパフォーマンスなSUVをお探しの方には、是非お勧めの一台ではないだろうか。
あるイギリスの調査会社によると、リスターは、2017年と2018年の第1四半期のイギリス自動車業界の中で、最も成長著しい業績を挙げた自動車ブランドへと躍進したようである。
リスターの価値観とクルマ造りのクオリティーが、高く評価されている証拠だろう。
そんな成長著しいリスターは、今後2年間におよそ15億円の資金を投じて本社兼ショールームをイングランド北西部のランカシャーに建設する予定だ。
アルピナに習い、アルピナを超えんばかりの勢いのリスター。
今後もその動向から目が離せない。
Photo source:The Lister Motor Company
SPONSORED
SPONSORED