ランボルギーニは、全方位で進化を果たしたフラッグシップモデル「アヴェンタドールSVJ」を、アメリカのカリフォルニア州で開催された「クウェイ・モータースポーツ・ギャザリング」で正式発表した。引き続き、その走りの頭脳から見ていこう。
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▶進化した頭脳LDVA2.0とALA2.0
ウラカン ペルフォマンテで初めて採用されたアクティブ・エアロダイナミクス・システム(ALA)は、アヴェンタドールSVJ用にALA2.0へと進化。このALA2.0の採用により、これまでよりもコーナリングスピードが向上しているという。
車載センサーから様々な情報を吸い上げ、あらゆる走行状況で最適なパフォーマンスを発揮できるようにクルマを統合制御するLDVA(ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・アッティーヴァ)も、2.0へと進化した。
このLDVAからの命令によって制御されるALA2.0は、走行状況に応じてダウンフォースを増大させるか、空気抵抗を低減させるかを調整する。フロントスプリッターとリアのボンネットに内蔵された可動式フラップは、前後の空気の流れを賢くコントロールするのだ。
高速コーナリング時やブレーキング時は、フラップを閉じてダウンフォースを増大させる。一方の加速時では、フラップを開いて空気抵抗を低減させる。この仕組みによって、切れ味鋭いハンドリングと一気呵成の強力な加速がシームレスで可能となる。
サバンナで獲物を捕らえるべく急加速し、何度も急旋回を繰り返すチーターのような動物的な身のこなしで、サーキットを制するのだ。
アヴェンタドールSVJの頭脳LDVA2.0は、トルクベクタリングならぬ、「エアロベクタリング」なる仕事もしてくれる。
エアロベクタリングとは、コーナーを曲がる方向に応じて、LDVA2.0がALA2.0に命令を出し、リアウィング内の左右に分かれた風洞に流れる空気の量を調整して、左右のウィングにかかるダウンフォースのどちらかを増大させる。
これによって、コーナリング時もステアリングを少し切るだけで、クルマは気持ちよく曲がってくれる。
ウィングが上下だけでなく、左右でダウンフォースをコントロールする。
その精緻で精巧な機械仕掛けは、もはや自らの意思を持つ生き物のようだ。
▶サーキット用の足は屈強だが、固い
足回りは徹底的に鍛え直されており、アンチロールバーの剛性はアヴェンタドールSVよりも50%向上しており、ダンパーの減衰力は15%高められている。LMS(磁気レオロジーサスペンション)もサーキットで最高のパフォーマンスが発揮できるようにチューニングが施されている。つまり、相当に固いと思われる。長時間公道を走るのは、キツイかもしれない。
アヴェンタドールSVJの4輪駆動システムは、アヴェンタドールSVよりも3%多く後輪にトラクションを配分している。これが、後輪操舵システム(LRS)と相まって、コーナリングでの俊敏性はもちろん、ストレートでの加速の安定性にも大きく寄与すると思われる。
そして、LDS(ランボルギーニ ダイナミック ステアリング)も、これまで以上に精確なハンドリングと路面状況のクリアなフィードバックがもたらされるようアップグレードが施されている。
走りをコントロールする賢い頭脳。
賢い頭脳から下される命令を、忠実に実行する屈強な足回り。
クルマではあるが、「指揮官と部下」という軍隊のような関係を連想してしまう。
しかし、揺るぎない統率力と実行力があるからこその、市販車世界最速なのだろう。
▶最高のパフォーマンスへと導くタイヤ
徹底した空力対策で得られた強力なダウンフォースで、がっちりと路面をつかむべく、センターロック式の漆黒の超軽量ホイールには、ピレリ P Zero Corsaを履く。ちなみに、ニュル最速タイムを刻んだ異次元のグリップ力を備えるピレリ P Zero Trofeo Rは、オプションで用意される。
▶3つのドライブモード
ドライブモードは3つ用意され、「ストラーダ」、「スポルト」、「コルサ」となる。「エゴ」を選べば、クルマの設定をすべて自分の好みにすることができる。
▶カスタムするインテリア
戦闘機をイメージしたコックピットは、顧客の要望にほぼ何でも応えてくれるビスポーク的なカスタマイゼーションで対応してくれるそうだ。自分好みの色やマテリアルで創る世界でたった一つの空間は、プライスレス。
アヴェンタドールSVJのインフォテインメントシステムは、ナビはもちろん、ボイスコントロールを備えおり、このボイスコントロールでアップルの端末を操作できるそうだ。なお、無料オプションでアップルカープレイが用意されているという。
▶今後の展開
価格はおよそ半分の51,548,373円(税抜き)からである。約2倍の価格であるマクラーレン・セナに匹敵するパフォーマンスを備えていると考えると、ほぼ半額という価格はバーゲンプライスかもしれない。
生産台数は、限定900台。
デリバリーは、2019年の初旬からを予定しているそうだが、受注の開始時期については、まだ明らかにされていない。
同時に発表された「アヴェンタドールSVJ 63」は、ランボルギーニが設立された1963年を祝う記念モデルであり、63台の限定生産となる。通常モデルよりも多くのカーボン素材が採用されていることなどが特徴だという。
今回のアヴェンタドールSVJは、最後の自然吸気V12モデルとなる。したがって、世界中のランボルギーニ コレクターが、喉から手が出るほど欲しいモデルであることは間違いないはずだ。
後継モデルは、2022年に登場予定で、V12ハイブリッドを搭載するようだ。
迫りくるEVシフトの波は、ランボルギーニとて例外ではない。
内燃機関で培った世界最速の技術は、近い将来、EVでの世界最速マシンへとバトンタッチされることだろう。
Photo source:LAMBORGHINI
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