アストンマーティンは、来年デビュー予定のDBS スーパーレジェーラのコンバーチブルモデル「ヴォランテ」のテストを、本社のあるイギリスのゲイドン周辺で着々と進めているようだ。
また、すべてのモデルにAMRバージョンを投入するという公約通り、「DBS スーパーレジェーラ AMR」の開発も同時進行しているという。もっとも、AMRのデビューは、ヴォランテの後となりそうだ。
アストンマーティンは、間髪入れずに新型モデルを投入し続けるマクラーレンのように、ラインアップの充実を図る。
それでは早速、オープンエアを優雅に愉しむDBS スーパーレジェーラ ヴォランテから見ていくこととしよう。
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▶ため息が出るほど贅沢で美しいヴォランテ
その全貌がベールに包まれているヴォランテ。ここからの話は、DBS スーパーレジェーラをもとに、アストンのクラフトマンシップに期待を込めてお伝えさせて頂きたい。
そのフォルムは、無機質な金属の塊が、英国が誇る匠の鈑金技術により、有機的で張りのある丸みへと姿を変え、血液が勢いよく充満した筋肉のようだ。その立体的で流れるような曲線は、生命が宿る金属感。
そして、風を感じ、陽の光を浴び、夜空を見上げるべく取り去られたルーフは、豪華クルーザーのような優雅で最上の開放感を運んでくれる。
一人きりでじっくり味わうのも良し。大切な人と、二人で愉しむのも良し。
見る者を一瞬で悩殺する造形美。匠によって精緻に仕立てられたV12。
レースカーのコックピットとクルーザーのキャビンが同居する空間。
ため息が出るほどの、贅沢美だ。
▶ヴォランテの動力性能予測
パワートレインは、クーペと同じ5.2ℓV12ツインターボが搭載されよう。725ps/900Nmというトルクフルなエンジンは、1,800rpmで最高トルクを発生し、その怒涛のパワーは5,000rpmまで淀みなく続く。
クーペであるDBSスーパーレジェーラは、0-100㎞/h加速を3.4秒でこなし、最高速度は340㎞/hに達する。対するヴォランテのパフォーマンスは、クーペよりも数値上やや劣るものと思われる。
ルーフが撤去されたヴォランテは、やむなく損なわれたボディ剛性を、ベースとなるDB11 から削ぎ落とした約70kg分かそれ以上を足し戻すという補強をしなくてはならず、必然的にクーペよりも100㎏前後重くなるからだ。
とはいえ、直接風を感じることを考えると、体感性能はクーペ以上かもしれない。
こんなハイパフォーマンスを誇るヴォランテに、ライバルのフェラーリ812スーパーファストはどう対抗してくるのか。
この点、フェラーリは、812スーパーファストのコンバーチブルモデルの投入は計画しておらず、ガチンコのライバルは幸いにも存在しない。ただし、ベントレー コンチネンタルのコンバーチブルモデルが現在開発中ということなので、実際に登場してきた時には、強力なライバルになるだろう。
匠たちの結集した真心は、金属の塊に温かい命を宿す。
目に映る躍動美、肌に感じる上質さ、心に響く鼓動。
見た目と中身ともに一級品のDBS スーパーレジェーラ ヴォランテ。
クーペ同様、アスファルトに佇むアートであることは、間違いないだろう。
▶最強最速のDBS スーパーレジェーラ AMR
さて、アストンの公約通りに開発が進められている最強最速のマシン「DBS スーパーレジェーラ AMR」であるが、これはライバルの812スーパーファストを本気で倒さんとするスーパーGTになるようである。
しかしながら、このAMRも全くもってその全貌は掴めないので、期待を大いに込めた推測でお伝えさせて頂く。
現状のDBSは、最高出力では812よりも75ps劣るが、トルクでは200Nm近くDBSが勝る。しかも、この極太トルクはわずか1,800rpmで最高トルクに達し、その怒涛のパワーは5,000 rpmまで淀みなく続く。
一方の812は、718Nmの最高トルクに達するまでは3,500rpm以上回す必要があるのだが、この最高トルクは7,000rpmまで続く。さすがは、フェラーリ。
812と比較すると、DBSのトルクはかなりパンチの効いたトルク感だが、英国流の非常にマナーの良い躾のせいか、恐怖感を抱かずにスロットルを開けることができるようだ。とにかく、扱いやすいクルマだという。
こんなにパワフルで速いクルマが、さらにパワーアップするのであるから、どれほど過激なクルマになるか、想像するだけでもワクワクする。
▶DBS スーパーレジェーラ AMRの動力性能予測
ベースとなるDB11がDB11 AMRへとアップグレードした際の数値を参考に、DBS スーパーレジェーラ AMRの動力性能を予測してみようと思う。
DB11は、5.2ℓV12ツインターボで608ps/700Nmを発揮する。一方のDB11 AMRは、639ps/700Nmとなり、トルクは同じであるものの31psのパワーアップを実現している。
とすると、DBSスーパーレジェーラ AMRのパワーは、最低でも756ps/900Nm程度のパワーアップを見込めるのではないだろうか。トルクに関しては、今でさえ超極太と言っても過言ではないから、最高トルクはこのままだろう。ただし、最高出力を上げた分、トルクバンドを高回転域まで拡げることになると思われる。
結果として、よりレーシーな味つけのエンジンへと変貌を遂げることになるだろう。
▶AMRは全方位でパフォーマンスアップに取り組むか
この期待を込めた予測の数値を見る限り、AMRのパワーは、812と互角に渡り合えるものとなるだろう。ただし、このパフォーマンスを100%アスファルトの上で発揮できるような、ボディバランスと足回りを手に入れることが条件となる。
現状のDBSは、アストン史上最大の180㎏のダウンフォースを発生させることができ、車重はベースとなるDB11よりも約70㎏軽い。
サーキットでの身軽なボディバランスのためには、これらの数値をさらに突き詰めていくことになるだろう。
そして、強大なエンジンパワーによる暴力的とも思えるトラクションを後輪だけで路面に伝えるのか、それとも、とうとう四輪駆動という選択肢に舵を切るのか。
あのM5でさえ、あまりのパワー故に四駆となるご時世であるから、何が起きてもおかしくない。現に、アストンはAMG製のV8ツインターボをDB11に搭載している。
ならば、BMW的な後輪寄りのトルク特性を備えた四輪駆動という選択肢は、十分にあり得るのではないか。
もちろん、これら以外にも重要な、トランスミッション、サスペンション、ESPやトルクベクタリング機能、エキゾーストシステムなどにも入念なチューニングが施されるだろう。
DBS スーパーレジェーラ AMRは、このような全方位的なアップグレードが徹底的に施された、近寄り難い孤高のモデルとなるだろう。
DBS スーパーレジェーラ AMRは、アストンマーティンのフラッグシップモデルであると同時に、サーキット志向モデル「AMR」の頂点に君臨するモデルでもある。
そのミッションは、スーパーGTとしての優美なる速さを実現すること。
そして、「AMR」という世界観とその方向性を明確に体現することである。
Photo source:ASTON MARTIN
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